頸部変形性脊椎症の症状は頸部、肩、背部、上肢に放散する疼痛、頸部の運動制限、四肢末梢のしびれ感、ときに歩行困難などの訴えが多く見受けられます。診断に際しては
@疼痛部位、疼痛の出現状況、圧痛の有無、歩行、起立の障害程度の判定
A神経学的所見(知覚障害、反射を含めた神経症状の有無)
B単純X線撮影(正面、側面、斜位2方向、前屈位、後屈位)
C血液、生化学検査などの一般検査
などを行うことが一般的です。これらの検査に加え当院では必要に応じてCT、MRI、ミエログラフィー等による画像診断も取り入れ、脊髄への圧迫の有無、腫瘍性病変の有無を検索しています。
上肢の血流障害が認められる場合にはサーモグラフィーを追加施行しています。
治療法は神経ブロック、薬物療法、理学療法などの保存的治療と手術療法とに大別できます。
重篤な神経症状がある場合は別ですが、基本的にはできるだけ保存的に治療するべきです。
(1)安静と運動療法
頸部痛に対しては頸部の安静を基本としますが、慢性的なものにはむしろ緩やかな頸椎運動で可動域の拡大を図った方が良好です。
(2)薬物療法
処方例1
ザルトプロフェン 160〜240mg・分2〜3
塩酸チザニジン 2〜3mg・分2〜3
これに不安対策として以下のものを加えます。
ジアゼパム 2〜3mg・分1、就寝前 あるいは
塩酸ヒドロキシジン 25mg・分1、就寝前
神経賦活薬も適時併用する。胃部不快感、心窩部痛などの副作用予防目的に次の薬剤を単独または併用して投与します。
テプレノン 150mg・分3、毎食後
ニザチジン 300mg・分2,朝食後・就寝前
痛みの強いときにはジクロフェナクナトリウム坐薬50mg、またはインドメタシン坐薬50mgを 1日1〜2回の割合で投与します。 急性痛でない場合、パップ剤は温感湿布剤を用いるとよいです。
(3)神経ブロック
神経ブロックは痛みの悪循環を遮断し、消炎、循環障害の改善などの結果、劇的な効果を発揮します。
しかし、神経ブロックは両刃の剣であり、軽々しく行うと各種合併症が起こりうることは十分認識しておくべきです。 安易に神経ブロックを行うことは厳に慎むべきです。
| トリガーポイント注射 |
疼痛が頸部の筋群の緊張に起因する場合にはよい適応です。
局所麻酔薬を疼痛部位、経穴の筋膜下に注射することにより即効性に除痛を期待できる場合が多く見受けられます。
1カ所につき0.25%塩酸ブピバカイン2mlに塩化アセチルコリン2mlを混ぜたもの、またはネオビタカインを1カ所につき1〜2ml圧痛点局注します。
塩化アセチルコリンの代わりに少量のステロイド剤(ベタメタゾン2mg)を用いてもよい。
注射針は25G、長さ25mmの歯科用鈍針が、筋膜を貫く感じがよくわかり使いやすいと思います。
効果のない場合は次の星状神経節ブロックを行います。
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| 星状神経節ブロック |
本ブロックではブロック側の上肢、頸部、顔面の血流改善作用により数分後から除痛効果が現れます。
通常1%塩酸メピバカイン5〜7mlを使用します。
またこれに加え、後述する低周波針治療を併用するとより効果的です。
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| 頸部硬膜外ブロック |
神経根症状を伴う場合には、できるだけ早期に施行すべきと考えます。
疼痛が強ければ入院させたうえ硬膜外カーテルを挿入し、持続硬膜外ブロックを行います。
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| 深部頸神経ブロック |
上肢や頸部、背部に局在的な痛みがある場合に効果を発揮します。
本ブロックによる除痛効果、ブロックの範囲を確認することにより、罹患部位、罹患神経を判定することが可能です。
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(4)その他の治療法
| 理学療法 |
牽引、マッサージ、温熱療法(ホットパック)などを行います。
神経ブロックと併用することにより良好な治療効果が得られる場合が多く見受けられます。
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| 低周波針治療 |
疼痛による頸部、背部の筋群の緊張緩和に有用です。
当院では頸部、背部の経穴、圧痛点6〜12カ所にディスポーザブル針灸院を刺入留置し、
15〜25分程度電気刺激を行い治療しています。
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| 低出力レーザー照射 |
低出力レーザー照射(He-Neレーザー、半導体レーザー)の各種疼痛性疾患に対する鎮痛効果が報告されています。
10〜15分間疼痛部位に照射します。 副作用はほとんど認められません。
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| 手術療法 |
脊柱管狭窄症による歩行障害、膀胱直腸障害など神経症状の憎悪などが認められる場合には手術適応も考慮すべきです。 |